

毎年夏になると、熱中症による体調不良や救急搬送のニュースが絶えませんが、最近ではテレビ番組で熱中症対策として、また運動時のパフォーマンス維持として『アイススラリー』が紹介されたりしています。
『アイススラリー』とは、水分と氷の粒が混ざったシャーベット状の飲料になります。
よく「かき氷とどう違うの?」というようなことが言われますが、かき氷のようなザクザクした食感ではなく、より細かく均一な氷の粒が液体に混ざっているので、スムーズに飲むことができます。
イメージしやすいもので言うと、かき氷を注文して時間が経ったとき、ちょうど氷が溶けて液体の中に溶けかけたかき氷の氷の粒が液体に混ざって浮いている感じに近いかもしれません。
それでは、冷蔵庫で冷やした冷たい水とどう違うのかという点も気になりますが、『アイススラリー』はただの冷たい飲み物ではなく、私たちのコア体温(体内深部の温度)を効率的に下げてくれるのです。
そのため、熱中症の予防や運動パフォーマンス維持に非常に効果的だと言われ、メディアでも紹介されることで注目され、冷凍庫に入れておくことでアイススラリーが作れるカップなども市販されたりしています。
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コア体温(体内深部体温)を下げる効果が高いとされている『アイススラリー』ですが、本当にエビデンス(科学的根拠)とかあるのでしょうか? 普通に冷蔵庫で冷やした冷たい水を飲めばいいじゃないかという疑問を持っている人もいると思います。
通常は、冷たい水やスポーツドリンクを飲んでも、それは一時的な冷却効果にとどまり、体温を下げる効果は限定的なものです。
これに対して『アイススラリー』は氷が直接体内で溶けるところがポイントで、体内で氷が溶ける際の融解熱によって、より多くの熱を吸収します。
氷が水になる際には多くのエネルギーを必要とするため、その分、体内の熱が効率よく奪われることは物理的にも裏付けられています。
東京大学や筑波大学などでは、の研究機関では、以下のような実験結果が報告されています。
Ice Slurry Mitigates Hyperventilation and Cerebral Hypoperfusion, and May Enhance Endurance Performance in the Heat.
Medicine & Science in Sports & Exercise 57(7):p 1488-1500, July 2025. |
アイススラリーは過換気と脳低灌流を軽減し、暑熱下での持久力パフォーマンスを向上させる可能性がある
Pre-cooling with ingesting a high‑carbohydrate ice slurry on thermoregulatory responses and subcutaneous interstitial fluid glucose during heat exposure
Journal of Physiological Anthropology 41, 34(2002)
高炭水化物アイススラリー摂取による前冷却が熱曝露中の体温調節反応および皮下組織液中のグルコース濃度に及ぼす影響
これらの研究で、アイススラリーを飲んだ後の運動では、通常の冷たい水を飲んだ場合に比べて深部体温の上昇が抑制されることが確認されています。
また、暑熱環境下でランニングやサイクリングといったパフォーマンスが有意に改善されています。
さらに、アイススラリーによって、熱中症の初期症状であるめまいや脱力感の発生頻度が低下することがわかっています。
アイススラリーの作り方について、メディアでは、アイススラリーが作れる市販のカップを冷凍庫に10時間ほど入れておいて、そこにスポーツドリンクなどを入れてかき混ぜて作る方法が紹介されていたり、氷をミキサーで砕いてといった方法なども紹介されています。
しかし、アイススラリー用のカップといったアイススラリー製品が無くても、ミキサーがなくても、アイススラリーは簡単に作れます。
極端な話、水とひとつまみの塩、それと適当な空のペットボトルがあればできてしまいますが、水じゃ味気ないという人は、スポーツドリンクやカルピスウォーターなど入れてみると良いでしょう。
本当に簡単な方法は、すでに飲み終わった350mL~500mLの空のペットボトルを用意します。
その中に水、または水で薄めたスポーツドリンクなどを、全体の量がペットボトルの容量の8分目以下になるように入れます。
あとは必要に応じて塩を加え、しっかりとフタをします。
あとは、冷凍庫に平らに置いて冷やすだけです。
3~4時間冷凍庫に入れておくと、半分ほど凍ったシャーベット状になるので、ペットボトルを外側からペコペコすることで、スラリー状にします。
あとは、これをコップに移して、スプーンやストローで飲めばOK。
3~4時間冷凍庫というころが最も重要なポイントで、これより短すぎると、氷ができておらず、逆に長いと完全に凍ってしまいます。
もし、空のペットボトルではやりにくいというのであれば、しっかり密封できるZIPLOC(ジップロック)の袋などに入れて、冷凍庫で3~4時間置いてシャーベット状にしても良いでしょう。
このほうが、空のペットボトルを使うより、もんでスラリー状にしやすいでしょう。
せっかく作った『アイススラリー』ですが、飲んで効果的なタイミングとしては、運動開始の15~30分前、運動中、熱中症の初期症状があるとき、出かける前などが良いでしょう。
屋外作業やスポーツ時の水分補給として最適ですし、熱中症の初期症状があり、すぐに深部体温を下げたいときに効果的です。
ただ、一気に大量に飲むと、お腹を冷やしすぎて腹痛の原因になるので注意しましょう。
熱中症の場合、アイススラリーはあくまで予防・初期対応ですので、重症時はすぐに医療機関を受診するようにしてください。
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